「茗荷」の話

私、ミョウガが苦手……セロリの次に駄目。

「ミョウガを食えば世界の四分の一をくれてやろう」と言われたらどうするか……
そんな物に興味はないので、きっぱりと断ります。

いつぞや、私の母親がやたらとミョウガを食卓へ並べたことが御座いました。
近所で貰ってきたそうなのですが……とっても苦痛だった。

「こんな物食えるかばばあ!」などと毒蝮三太夫が如く罵ったりはしませんが、とにかく箸が重くなる。母親の「最悪な料理」と相まって、私は思いの外に嫌いな物が御座います……
大抵は食べることができますが、気持ちよく食せない。


ところで……ミョウガを食べると忘れっぽくなるそうで御座います。

子供の頃に読んだ昔話(落語)を披露しちゃおうかな。空覚えなので、超適当ですが☆


……それでは、始まり始まり……★


あるところに、宿屋を経営する夫婦がおりました。

で、その宿屋はじり貧。超じり貧。明日の飯もどうなるか分からないほどのじり貧に、二人は喘いでいたわけで御座います。


「ちょっと、あんた。どうするのよ、これから」
「待て。今、考えてるから……」
「昨日も一昨日もそうだったじゃないか! いつになったら答えが出るんだい!」
「やかましいわ惚け茄子が! てめえも少しは考えろ! このバカビッチ!!」


やばいなら、ちゃっちゃと宿を畳めばいいだけだと思うのですがね。
と言うか、経営センスがないだけでは……サービスも、あまりよくなかったのでは?


ある日のこと。夫がついに閃いた。

「よっしゃ! ミョウガを使おう!」
「はあ? あんたバカぁ!? それで何をするんだい?」
「バカはお前の方だ! いいか。ミョウガは物忘れを激しくさせるんだ」
「つまり?」
「うひひ……客に財布を忘れていって貰うのさ!


ミョウガだけに妙案なのかどうかは微妙なところ。

とにもかくにも、夫婦は見通しの暗い「宿屋再建計画」に着手したわけで御座います。


人であることを忘れた外道夫婦が経営する地獄の宿屋……
そこへ訪れたのは、何も知らない一人の男。旅の途中、骨休めに立ち寄ったようだ。

夫婦は喜び勇み、客を出迎えることに。

「あんた! お客が来たよ!!」
「分かってるわ惚け茄子が。よし、“スイートメモリーの間”へお通ししろ!」


ここから夫婦は全力でおもてなし。と言うか、普段から全力でやれと言いたいのですね。
全力で客をもてなさないから宿屋が傾くわけで。荒ら屋も同然の建物かも知れませんね。


さて、ついに本番。夕食の時間がやって参りました。

「今夜の食事はミョウガのフルコースでございますよ!」
「ほほほ……旬のミョウガを仕入れておきましたわ!」


ミョウガの漬け物にミョウガの炊き込みご飯。ミョウガのお吸い物にミョウガの……と、とにかくミョウガだらけ。

そしてこの料理、あながち馬鹿にできないようだ。
男はサンバのリズムが如く舌鼓を打ち鳴らし、次から次へとミョウガを口へ運んだ。


してやったりと、ほくそ笑む夫。最高の料理の裏に潜むのは、悪鬼の微笑み。

果たして、男は財布を忘れていくのだろうか。



……翌朝になり……


財布はおろか、下着の一枚も忘れていなかった。
そして男は夫婦へ厚く礼を述べると、何事もなかったかのように宿を後にした。

しょんぼりと、男の背中を見送るバカ夫婦。そうは問屋が卸さないわけで。


「……行っちまったよ。結局、ミョウガは効果なしだったんだねぇ……」
「少なかったかな……次はもっと大量のミョウガを用意して……」
「懲りないねえ! あんたみたいなバカに付ける薬はないよ!」
「まあ、客は客だったわけだし、いいか。一応は売り上げ……う、売り上げ!?」
「ちょ、ちょっと! ま、まさか……あんた!?」
「あの客……代金を払い忘れて行きやがった!!



そう。男が忘れたのは財布ではなく、支払いだったのですね。

全力で「サービス、サービスぅ!」したのに夫婦はガックリ。御愁傷様で御座います。
もう、悪巧みは仕舞いにした方がいいでしょう。悪さするにもセンスが必要なので。

この夫婦は、何をするにもセンスがないだけなのですね。料理だけは別のようですが。
……何ですって? 「美味い料理を出す宿屋だ、と男が宣伝するかも」ですって?
いや、それはないと思います。私はね。

と言うのも、この男……宿屋に泊まったことすら忘れるのではないでしょうかね。

美味しいミョウガ料理の味は、
しっかりと覚えてるでしょうけどね!




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コメント

妙雅。

kak
http://dhweb.mods.jp/tfw_02/y_tfw_myogadani.html

↑おまけ。最初から、おまけつき。
そういえば、グリコのおまけは、飴の上に細長い四角い箱に入ってのっていたけど、いまは、見かけないですね。


朝から、おもしろい落語を聞かせていただきました。落ちが、いいですねえ。よく出来た、話です。
付け加えるなら、風呂も茗荷湯で、・・・・なんて、やり過ぎ感ありますけど。

茗荷は、香りがよくて、好きですね。
夏場は、冷たく冷やしった素麺のつゆに、生姜と茗荷、わけぎ、なんかあれば、薬味によござんすね。

ちなみに、今朝の遅い朝飯は、賞味期限の切れた、熊本か福岡の、「マルタイ棒ラーメン」でした。好きで、みつけたら、買い置きしているんですが、たまり過ぎて、賞味期限1月末、で、切れてました。
まだ、3個くらい、買い置きあり。
なぜか、この、ラーメン、癖になる味ですね。
とんこつ味ですが。

茗荷谷には、拓大、文京女子大、東洋大なんかがあって、隣の本郷には、東大があり、文教都市なんですね。
陸上の100メートル、凄い記録だしたなんとか選手は、東洋大へ行くそうですね。間違っても箱根は走らないでしょうが、もし出たら、最後のスピード勝負になったら、勝てる相手はいないでしょう。

ただ、東洋大学の陸上部が、茗荷谷にはない気がする。どこか、別の場所に、専用の施設があるとか。早稲田も、陸上などスポーツ専門の人間科学部は、所沢にあるし。

文京区役所、カネかけすぎ。

昔の話ですが、後楽園に競輪場があって、左翼全盛の美濃部都政のとき、後楽園競輪を廃止した。でも、競輪をする人は減らなかった。立川にも、競輪場がありますが、こちらは廃止しないどころか、市役所の入口に、開催日程を書いた「競輪マッチ箱」を置いてサービスで市民に、配布してましたね。

落ちが・・・

やっちろ
アハハ、面白かった ナイスです。
苦味にある食材は、身体に良い、といいますぞ。

もうすぐ春ですね、ふきのとうなど、楽しみだ~
此処は、珍しい山菜もいっぱいあり、待ち遠しいな

Re: 妙雅。

紅@KOH
どうもどうも!

> http://dhweb.mods.jp/tfw_02/y_tfw_myogadani.html

「縛られ地蔵」がとっても気になるwww


> そういえば、グリコのおまけは、飴の上に細長い四角い箱に入ってのっていたけど、いまは、見かけないですね。

一粒三百メートル! そう言えば、あれってまだ売ってるのでしょうかね。
ちっとも目にしません。


> 朝から、おもしろい落語を聞かせていただきました。落ちが、いいですねえ。よく出来た、話です。
> 付け加えるなら、風呂も茗荷湯で、・・・・なんて、やり過ぎ感ありますけど。


空覚えだもんで、本当に超適当で御座います。
落ちと「物忘れ」だけはしっかり覚えていたので、自分で勝手に脚色してしまいました。


> 茗荷は、香りがよくて、好きですね。
> 夏場は、冷たく冷やしった素麺のつゆに、生姜と茗荷、わけぎ、なんかあれば、薬味によござんすね。


ああ……確かに、冷や奴に乗せたりしますね。
だがしかし! 私はどうしてもミョウガが苦手で……なかなか箸が進まないのでええええ。


> ちなみに、今朝の遅い朝飯は、賞味期限の切れた、熊本か福岡の、「マルタイ棒ラーメン」でした。好きで、みつけたら、買い置きしているんですが、たまり過ぎて、賞味期限1月末、で、切れてました。

どれだけ買い置きしてるのですかwww

私も豚骨ラーメン好きで御座います。匂いは独特ですが。


> 昔の話ですが、後楽園に競輪場があって、左翼全盛の美濃部都政のとき、後楽園競輪を廃止した。でも、競輪をする人は減らなかった。立川にも、競輪場がありますが、こちらは廃止しないどころか、市役所の入口に、開催日程を書いた「競輪マッチ箱」を置いてサービスで市民に、配布してましたね。

競輪ですか。私も以前、ちょっとだけ楽しんでました。今は興味なくなってしまいましたが。

ギャンブルもたまにはいいのでしょうけどね。

Re: 落ちが・・・

紅@KOH
どうもどうも!

> アハハ、面白かった ナイスです。
> 苦味にある食材は、身体に良い、といいますぞ。


ええ。そうなのですよね……も、勿論! 知ってましたよ!
「良薬は口に苦し」と言いますもんね! 


> もうすぐ春ですね、ふきのとうなど、楽しみだ~
> 此処は、珍しい山菜もいっぱいあり、待ち遠しいな


まさに「山の恵み」で御座いますね!

山に住むと健康になれそう……☆

( ̄▽ ̄)ゞ☆
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